早川の働いていたところはオフィスビルのワンフロアで、
窓口はオフィスに入った目の前にありました。
ある日のこと。
お昼休みから戻って、再び窓口業務の再開をすると、
入口のすりガラスの向こう側にスーツ姿の人影が佇んでいました。
すりガラスの向こうはビルの廊下なので、
電話してるのかな?位に思っていました。
しかし…
ガラスの扉の向こうの人影は30分…いや小一時間ほど動くことがなく、
少し気持ち悪いな…と思い始めました。
その時、一人のお客さんがやってきました。
ほとんどのお客さんが午前中に手続きをしにやってくるので、
午後初めてのお客さんです。
そのお客さんが開けたドアの隙間から、
必死にこちらの様子を覗き込んでくるケンちゃんの姿が。
小一時間廊下で佇んでいたのはケンちゃんでした。
「???」
なぜ小一時間も廊下に?
なぜ自分でドアを開けずに中の様子を確認した?
お客さんの対応をしながら、頭にはてなマークがびっしり。
いや、早川の頭はいつも不可解な男の動向ではてなマークだらけなんだけどね。
昔も、今も。
対応したお客さんが帰って行くと、
ケンちゃんが普通に入ってきました。
「??」が「!?」になりました。
様子を伺ってたやつが、なにしにきたのさ…。
いつも通り、手続きの書類と…そして、
「これ…どうぞ。」
と一冊のノートを手渡してきました。
それには猫の顔の形をした大きめの付箋が貼ってあり、
”よかったら読んでください。”
と書いてありました。
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